2022 | 0801

pitônアドバイザー 今中美代子 Interview

pitônアドバイザー 今中美代子 Interview

施術者がなぜフェムケアと向き合い、「pitôn」を立ち上げるに至ったかをご紹介します。

pitônアドバイザー|今中 美代子

total care & beauty salon VICTORIA 代表
フェムテックマイスター

19歳からヘアメイクアップアーティストとして活動したのち、妊娠・出産を経て、30歳で自律神経にアプローチする施術の資格を取り、施術者として独立。2022年5月、代官山に「total care & beauty salon VICTORIA」をオープン。「整形級の小顔が叶う」「肩甲骨が見違えるほどすっきりする」など、開業以来リピーターが耐えない。外見を美しくするだけでなく、悩みを根本から解決する自律神経へのアプローチで、内面から健康へと導く施術にも定評がある。目指すのは、目の前のお客様をトータルでケアすること。お客様の笑顔を引き出すため、デリケートゾーン用の最新脱毛機器導入やfem techマイスター取得など、施術の幅を広げ続けている。

 

「外見の美しさ」から「内面の美しさ」へ

ヘアメイクアップアーティストとして外見の美しさを追求してきた私が、内面のケアにも興味を持ち始めた理由は、2つあります。

1つは、「外見をいくら綺麗に整えても、それだけでは本当の美しさは手に入らない」と気がついたこと。これは、私自身が長い期間肌荒れに悩まされていたこともきっかけです。肌荒れに効くと聞けばなんでも試してきましたが根本的な解決には至らず、表面だけにアプローチするケアには限界があると感じました。

もう1つは、妊娠・出産による体と心の変化を体験したこと。メンタルは強い方だと自負していましたが、ホルモンバランスの影響によるゆらぎは自分にも起こり、それらが体や見た目、そして心にも大きく影響してくることを実感しました。

体力や気持ちが落ちると、自分を美しくしようという気持ちもさがり、スキンケアやメイクどころではなくなってしまう。そんな自分に対して、「女性なのに…」とさらに落ち込んでしまう。

たくさんの方がすでに話されていることですが、「健康こそ本当の美しさにつながる」のだと感じたのはまさにこの時でした。

気持ちや内面の美しさこそ、外見の美しさに反映される。そうとなれば、一体どんな技術を身につけたらいいのだろう。そこで辿り着いたのが、「自律神経を整える」というアプローチでした。

 

女性の体には解決できないことがあると知った

自律神経にアプローチする施術を始めると、たくさんの方々が来てくださいました。頑張りすぎて筋肉が強ばり、体の不調を訴える方、ちょうどコロナ禍になった時期だったので、日常の大きな変化から眠れなくなり鬱病になりかけている方...。一人ひとり異なる症状は、それぞれ深刻です。「どうしたら、少しでも楽になってもらえるか」を模索し、自分の持てる技術を使って試行錯誤を続ける日々でした。

そんな中で、女性のお客様の多くが、女性の体特有の悩みを持っていることを知ります。

PMSをはじめ月経に関すること、不妊に関すること、更年期に関すること...。打ち明けてくださるそれらの悩みは、子宮や女性ホルモン(エストロゲン)にかかわる問題です。そこにはどうしても、自律神経にアプローチするだけでは救えない領域がありました。

私の性格的に、安易に「自律神経を整えれば変わりますよ」とは言いたくありません。深い悩みだからこそ、目の前で困っている方の悩みをきちんと解決したい。でも、今の自分には根本的な解決策を提供できない。

このもどかしさを解消したくて、フェムケアに関する勉強をはじめました。

まずはデリケートゾーンを清潔に保つことが大切と知り、VIOも優しく脱毛できる機械をサロンに導入。そして施術後のお肌を乾燥から優しく守ってくれる製品を探していた時に、脱毛器のメーカーさんが所有していたタマヌオイルと出会います。

タマヌオイルは、タマヌという木の実から取れるボタニカルオイルで、ハワイ島では古くから皮膚トラブルの万能薬として、全身に使用されてきたもの。抗炎症作用・抗酸化力・そして圧倒的な保湿効果があると教えていただきました。

繊細な部分を清潔に保ち、保湿をしっかりすることがフェムケアの第一歩です。「これはまさにぴったりの成分だ!」と思い、すぐにメーカーさんにフェムケア製品として商品開発ができないかをご提案しました。

フェムケアは毎日の習慣にすることが大切です。その基礎としてセルフケアもお伝えしていければ、女性特有のゆらぎに悩む方を減らせるかもしれない。「目の前にいるお客様をトータルでケアしたい」、その気持ちが原動力となりました。

 

女性の体特有の悩みは、なるかならないかの「賭け」ではない

フェムケアについて知れば知るほど、その効果に驚かされました。

フェムテックマイスター取得のために勉強する中で、元気がなかった80歳の女性が、1年間徹底してフェムケアすることで、髪も肌もツヤツヤになり、心から元気になったという事例を知りました。正直「なんなのこれ?」と、衝撃を受けましたね。

そして、フェムケアは「いつか必要になる」ことではなく、自分にとってもすでに身近な問題だったことにも気がつきました。

妊娠・出産時に自分の体と心の変化に驚いたとお話ししましたが、会陰切開で出産したため産後2ヶ月は体が戻らず、お手洗いに行きたくないのに漏れてしまう、その事実に勝手に涙が出てきたことがありました。女性としてのショックが大きくて、子供がいる幸せとは全く別の不幸せな自分を感じてしまう。誰に相談したらいいかもわからず、悲しみを抱えたまま落ち着くのを待っていた気がしま。

でも、もし日常的に会陰マッサージして出産に備えていたら、切開する必要はなく、あの時の悲しさを回避できたのかもしれません。

海外では初潮が始まった時に、「来るべき女性の体の変化に向けて」母親が子供にフェムケアを教えると言います。あの時の私は、情報がなかっただけです。同じ思いをする人が一人でも減るように、「こういう方法があるんだよ」を伝えていきたいと強く思いました。

そして、更年期に10年以上苦しんだ私の母も、フェムケアの知識があれば対策ができたのかもしれない、と思えました。気分の落ち込みが激しく、家に帰るとソファーで泣いている日々。家族はもちろん本人でさえも、何が起きているか理解できずに苦しみ続けていました。もしこれが、女性ホルモンの減少による症状なのだと知り、対策ができていたら。知らないことは怖いことだと、改めて感じました。

自分の親やゆくゆくは自分も、いずれ介護と向き合う時が来ます。閉経後はデリケートゾーンの乾燥が進むため、しっかりとしたケアが必要なのですが、現状の介護の現場ではまだまだ知られていないこと、また個別にケアすることが難しいなど、水がかかるだけでも痛い状態を抱えたままの女性がたくさんいます。現場で尽力されている方がたくさんいることも理解していますので、私はその家族に伝えることから、一人でも苦しむ方を減らしていきたいと思いました。

フェムケアを学ぶまで、ライフステージの変化による女性特有の不調は、なるかならないかの「賭け」だと思っていました。でも、そうではないです。きちんと対策すれば、防げるかもしれない。

フェムケアは、「何かが起きたらするもの」ではなく、「何かがないように日々当たり前にするもの」であってほしい。女性として生きる心のために、必要なケアだと学びました。

 

フェムケアという文化をつくる

2020年に自民党 野田聖子議員がフェムテック振興議員連盟を立ち上げてから、日本は国としてフェムケアの推進に力を入れていこうと動いています。

なぜなら、社会として女性活躍が推進される中、実際には50%近くの働く女性が、女性特有の不調が原因で出世を諦めている、という結果も出ているから。これによる経済損失は膨大です。「仕方がない」で片付けてしまっては、いけないんですよね。

自分の体の状態を「受け入れる」のは大事なことですが、そもそもきちんと理解できていなかったり、判断するための情報を持っていなかったり。対策できることを知らずに諦めてしまうのは、すごくもったいないことです。

日本ではまだフェムケアが一般的ではないので、知らないうちに自ら不調に近づけてしまっていることもあります。これは誰が悪いということではなく、多くの人が「知らなかった」、ただそれだけなのだと思っています。

だからこそ、pitônでは、女性の体にまつわる事柄から、伝えていきます。

「なんとなく話しづらくて、誰にも話せなかった」女性特有の悩みも、フェムケアという文化を作ることによって、もっと相談しやすくなったり、情報交換しやすくなったりするかもしれない。

「pitôn」が目指す理想は、年齢を問わず、フェムケアに関することの相談役になること。

日本の女性にとっての「あたりまえ」を作っていきます。

とくに、今何も問題がない人こそフェムケアを実践してみてほしいです。日常的に続ければ、出産の時に切開しなくても切らなくて済んだり、女性ホルモンの急激な現象による不調を防げるなど、メリットしかありません。

そしてゆくゆくは、男性も含めて、フェムケアは恥ずかしいことではないという価値観を根づかせていきたい。今は素晴らしいフェムケア用の製品もたくさん発売されているので、「pitôn」がその選択肢の一つになったら嬉しいです。

すべての女性の生きやすさのために、「知らなかった」で済まさず、きちんと知って、伝えていく。

ひと世代超えた時にはあたりまえの「文化」になっていることを目指して、フェムケアを伝え続けていきます。

取材・執筆:大西志帆
取材・編集:飯室佐世子

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